顎関節症~あごの
仕組みと不調のサイン~
顎関節症は、耳の穴のすぐ前方にある顎関節や食べ物を噛む時に使う「咀嚼筋」に異常が起きる疾患の総称です。私たちのあごは、非常に複雑で繊細な動きをしています。骨と骨の間には「関節円板」というクッションの役割を果たす組織があり、これがスムーズにスライドすることで、私たちは自由に口を開閉し、食事を楽しむことができます。このバランスが崩れた状態が顎関節症なのです。
顎関節症は、決して珍しい病気ではありません。しかし、放置しておくと食事が困難になったり、慢性的な頭痛や肩こりを引き起こしたりすることもあります。当院では、患者様のお悩みに寄り添い、一人ひとりの原因に合わせた治療をご提案しています。
こんなお悩みはありませんか?
- 口を開けようとすると、あごの関節が「カクカク」「ミシミシ」と鳴る
- 口が大きく開かない(指が縦に3本入らない)
- 硬いものを食べた時や、大きく口を開けた時にあごの付け根が痛む
- あごの関節が引っかかるような感じがして、スムーズに動かせない
- 噛み合わせに違和感がある、または急に変わった気がする
- 原因不明の頭痛、肩こり、耳鳴りが続いている
顎関節症の主な原因
複数の要因が積み重なって、あごの耐久力を超えた時に発症するというのが一般的な考え方です。
歯ぎしり・食いしばり
寝ている間の歯ぎしりや仕事中に無意識に奥歯を噛み締める癖は、あごに過度な負担をかけます。
TCH(歯の接触癖)
本来、上下の歯はリラックスしている時には接触していません。パソコン作業やスマホ操作中に、上下の歯をわずかに触れ合わせる癖(TCH)が、筋肉の緊張を招きます。
生活習慣と姿勢
ほおづえ、片側ばかりで噛む癖、猫背、うつ伏せ寝などは、あごのバランスを左右非対称にする原因となります。
精神的なストレス
ストレスからくる筋肉の緊張や、睡眠不足が症状を悪化させることがあります。
知っておきたい顎関節症3つのタイプ
咀嚼筋痛障害(筋肉のトラブル)
あごを動かす筋肉(咀嚼筋)が凝り固まり、痛みが生じるタイプです。あご自体というよりは、頬のあたりやこめかみが痛むのが特徴。筋肉の炎症が原因のため、マッサージやストレッチが効果的な場合が多いです。
顎関節円板障害(クッションのズレ)
関節の中にあるクッション(関節円板)が正しい位置からズレてしまうタイプです。口を開ける時に「カクッ」と音が鳴る(クリック音)のが初期症状で、進行すると口が大きく開かなくなるクローズドロック状態になることもあります。
変形性顎関節症(骨の変形)
長年の負担によってあごの骨の表面が削れたり、変形したりしてしまうタイプです。口を動かすと「ミシミシ」「シャリシャリ」という砂を踏むような音がするのが特徴。シニア層の方に多く見られますが、最近では若い方にも見られることがあります。
当院での主な対処法
顎関節症の治療は、外科手術を行うケースは稀で、多くは保存的な治療(体に負担の少ない治療)からスタートします。
マウスピース(スプリント)療法
夜間寝ている間に、患者様専用に製作したマウスピースを装着する治療法。歯ぎしりや食いしばりによる圧力を分散させることであごへの負担を軽減させ、関節や筋肉を休ませます。また、下あごの位置を安定させ、筋肉の緊張を和らげて正しい位置へ誘導する効果も期待できます。
薬物療法
痛みが強い場合や筋肉の緊張が激しい場合には、関節の炎症や痛みを抑える消炎鎮痛剤、強張った筋肉をほぐす筋弛緩剤など、症状に合わせて薬を処方することがあります。
セルフケア
治療と並行して、ご自身で日常生活の癖を改善していただくことが、症状改善への近道となります。
あごの違和感を放置しないでください
顎関節症は「音が鳴るだけだから大丈夫」「そのうち治るだろう」と我慢してしまう患者様も少なくありません。しかし、初期段階で適切なケアを行うことで、重症化を防ぎ、短期間での改善が見込めるケースも多いのです。
当院では、丁寧なカウンセリングと精密な検査を行い、患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせた治療計画を立てています。食事や会話を心から楽しめる健やかな毎日のために、まずは一度ご相談ください。
